- ~若者のテレビ視聴とメディア利用・「日本人とテレビ・2010」調査から~
本文(1,269KB)
2010年8月号と10月号で報告した「日本人とテレビ」調査の結果を中心に、インターネットの利用が一般的な16~29歳(若者)という特定の年層に注目し,若者のテレビ視聴やメディア利用の実態,そしてメディアに対する意識や態度について分析した。
16~29歳のテレビ視聴時間は,この5年間で「1時間」以下の短時間視聴者が増加した。「4時間」以上の長時間視聴者は変わらず、「2時間」「3時間」の中間が減少しており、二極化とまではいえないが、その兆しがみられる。また,16~29歳では全体に比べてテレビ,ラジオ、新聞への接触が少ない一方で,インターネットや音楽ソフトなどをよく利用している。16~29歳の若者はインターネットで動画をよく見ており,3人に1人は見逃したテレビ番組を動画サイトで見ることがあると回答している。
他のメディアとの比較や欠かせないメディアでは,16~29歳では「テレビ」の位置づけが低下している一方で,「インターネット」の位置づけが相対的に高くなっている。<情報>など一部の領域で「テレビ」の機能が「インターネット」に置き換わる様子がうかがえた。
しかし,「人とつきあうときの話のタネが得られる」というテレビ効用や意識の面などテレビ単独の評価は,16~29歳では決して低くはなかった。そして,他のメディアと比較した評価の中でも,<報道><解説><娯楽>など相対的にテレビが評価されている機能もあり,将来的なテレビへの可能性や期待も高い。
16~29歳でテレビ視聴時間量を長短でタイプ分けしてみると,短時間型と長時間型では,テレビの相対的な位置づけやテレビへの期待などで大きな差はなかった一方で,テレビに対する意識や欠かせないメディアでのテレビの評価で大きく違い、短時間型ではテレビの評価が相対的に低かった。10月号で明らかにしたように若者全体の間でテレビの存在感がやや薄れているのは,この5年間でインターネットをよく利用する短時間型が増加したことが影響していると考えられよう。