Googleが特設サイト「Inside Abbey Road」を開設、英国の アビー・ロード・スタジオ 内部を公開しました。ビートルズやピンク・フロイドら伝説のロックバンドが愛用したスタジオを自由に見学できます。
アビー・ロード・スタジオが開かれたのは1931年11月12日。当初は EMI スタジオと呼ばれ、当時最新の録音機材を揃えたスタジオでした。60~70年代以降はビートルズやピンクフロイドらがアルバム制作のメインスタジオとして使用するなど、数多くの名盤を生み出しました。さらに80年代以降は『レイダース/失われたアーク』、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』、『エイリアン2』 といった映画音楽の分野でも重要なスタジオとしても使われるようになりました。
またビートルズ解散後のポール・マッカトニーがプライベートスタジオ建設の際、アビー・ロードの第2スタジオを再現したエピソードもファンには知られた話となっています。
Googleが公開した特設サイトでは、普段は一般に公開されていないアビー・ロード・スタジオ内部をストリートビュー方式で自由に見てまわれます。第1~第3まであるレコーディングスタジオ内には動画や画像などのアイテムが配置してあり、それらをクリックすることで関連情報を見られるしくみ。たとえば、第1スタジオでは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』録音風景の動画、レコーディング中のビートルズの画像などが配置されています。第2スタジオではロックバンド OASIS のセッション風景、第3スタジオではサム・スミスのライブ・パフォーマンスなども見られます。
スタジオ内の機材を使ったミニゲームも用意してあり、たとえばヴォーカルトラックにエフェクトをかけたり、ミキサー卓で4トラックの素材を使ったミックスダウンなどが体験できます。ほかにもミニゲームは配置されているので、隅々まで探してみるのも面白そうです。
本当のツアーのように順を追って回りたい人には、スタジオのプロデューサーやエンジニア、DJによるスタジオ・ツアーがおすすめです。施設内をめぐりながら、映画音楽やアーティストの録音エピソードからスタジオ以外の小さな録音ブース、機材などの解説を楽しめます(ただし音声は英語)。
ツアー中でも配置されたアイテムは見ることができます。第1スタジオのツアーではコントロールルームでジェイ・Zとゼイン・ロウによる対談の動画が見られました。なおこの二人、現在は TIDAL とアップルでそれぞれ音楽ストリーミングサービスに関わっています。
各所における音も、たとえばミュージシャンが演奏している場所でアングルを変えるとそれに合わせて音の聞こえる方向が変わったり、スタジオとヴォーカルブースでは音の残響が変化するなど臨場感を与えています。スタジオ内を見て回るときはヘッドホンをしておくと、より楽しめそうです。
ちなみに、アビー・ロード・スタジオを所有する EMI は、かつてはビートルズやクイーンといった大物アーティストが所属し、ユニバーサル、ソニー、ワーナーに比肩する巨大レコードレーベルでした。しかし2007年の世界金融危機のあおりを受けて経営が悪化、2011年にはレコード部門をユニバーサルに、音楽出版部門をソニーに買収されるに至っています。アビー・ロード・スタジオも現在はユニバーサルミュージックの所有となっています。