プロ用ペン入力タブレットで知られるワコムがCES 2015に 合わせて、液晶ペンタブレットの新最上位モデルとなるCintiq(シンティーク) 27QHDシリーズの2機種を発表しました。発売予定は2月上旬。直販価格は、タッチ対応モデルの27QHD touchが31万8000円(税抜)、タッチ非対応モデルの27QHDは26万8000円(同)。
従来の最上位モデルCintiq 24HDと比較して、液晶画面の大型化と高解像度化、そして24HDでは画面の左右にあったファンクションキーをワイヤレスリモコン化し、レイアウトフリーとした点が特徴です。
液晶パネルは27インチのIPS方式で、WQHD(2560×1440ドット)表示に対応。24HDに搭載されていた液晶パネルは24インチIPSのWUXGA(1920×1200ドット)表示だったため、解像度と面積ともに大きく広がります。
本体サイズは液晶画面自体が大きいこともあり、770×465×54.5mm(幅×奥行き×高さ)と大柄ですが、24HDの769×464×64mmと比べると画面の拡大にもほぼ変わらず、かえって薄型化しています。
液晶パネルの色域はAdobe RGBカバー率97%と広く、さらに別売りのカラーキャリブレーションユニットにも対応。入力側は10ビット(30ビット)カラー入力に対応するため、理論上表示色数は約10億色。高価な製品だけあり、このあたりの対応も隙がありません。
なお、Cintiq 24HDに関しては、発表時の記事をご参照ください。
液晶ペンタブレット Wacom Cintiq 24HD 製品写真 & 仕様判明
また、従来モデルではディスプレイ横に固定されていたファンクションキーは、本体と2.4GHz帯の無線で接続されるリモコン型デバイスExpressKey Remote(写真左)へと変更。
17個のファンクションキーとタッチホイールを搭載したこのデバイスは、アプリケーションによってカスタマイズしたショートカットキーを割り付けられると いう機能こそ変更ありませんが、タブレット本体から独立したことで設置自由度は大きく増加。作業中の姿勢の自由度が広がります。
さらに最大で5台までの増設が可能な仕様となっており、主要なショートカットの分を用意することで作業効率を向上できます。
また、24HDでは設置後の自由度を高めるべく、角度可変可能な大型のスタンドが出荷時に装着されており、そのため総重量約29kgと非常に重くなってい ました。対して本機では同様のスタンドをCintiq Ergo standの名称でオプション化し(上の写真)、本体はPC用キーボードのような折りたたみ式スタンドのみとすることで、本体のみでは9kgまで軽量化し ました。
Cintiqシリーズとしては初となる全面ガラス張りの表面デザインと相まって、見た目にもスリムなイメージです。
設置パターンは、5度の傾斜がついた平置きスタイルと、先述した折りたたみ式のスタンドを出した20度の傾斜を備えたスタイルの2パターン。
さらにVESAマウント用のネジ穴も用意されているため、他社のアームとの併用も可能です。
ディスプレイ部の入力端子はDisplayPortとHDMIで、タブレット部の接続インターフェイスはUSB。4ポートのUSB 3.0対応ハブ機能も搭載します。
付属ペンはプロ向けのシリーズだけあり、ワコムのお家芸である電磁誘導式『プロペン』。読取分解能は最高0.005mm、筆圧検知は2048段階。±60段階の傾き検出機能にも対応します。
このようにCintiq 27QHDは、定評あるワコムのペン入力精度を引き継ぎつつも、画面の高解像度化やExpressKey Remoteなど、作業効率向上に効果的な新機軸的機能を盛り込んだ仕様が目を惹く仕上がり。
仕様が豪華な点に加えてワコム製品だけあり非常に高価ではありますが、イラストレーターや写真家などの間では今回も定番的存在となりそうなモデルです。