例年にも増してヘルスケア系・フィットネス系メーカーが目立ったCES 2015 で、日本のオムロンはソフトとハードの双方で強みを生かした新製品を披露していました。ブースの様子をお伝えします。
まずソフトではiOS/Android アプリのOMRON connect。Bluetooth 対応の血圧計、体重体組成計、歩数計、血糖計などと連携してデータを集計・管理・共有します。
データは項目ごとにタイル状に並び、表示位置や項目は変更可能。タイルをタップすると表示期間を日・週・月・年から選択できます。
集めたデータはクラウドサーバに保存され複数の端末間で利用可能なほか、他社の健康管理サービスとも連携可能になる予定です。
似た機能としてiOS にはHealth、Android にはGoogle Fit がありますが、OMRON connect はそれらOS 標準機能ではサポート外の計測項目にも対応し、取得したデータを余すことなく活用できることが売りです。
OMRON connect は2015年9月頃にiOS 版とAndroid 版を同時に提供予定。価格は無料で利用にあたり会員登録は不要です。また当初はBluetooth 通信にのみ対応しますがNFC やWi-Fi にも対応予定です。
雨後の筍のごとく多くのメーカーが参入を続けるスマートヘルス・フィットネス業界において、オムロンは健康医療機器メーカーの強みを生かした精度の高いデータを武器に独自の地位を築こうとしているようです。
続いてハードウェアでは、人体を高精度かつ高速に計測して3D データ化する3D Style System を参考展示していました。既存製品が数百万~1000万円を超える中で、高い計測精度を備えつつ1万ドル以下というお手頃価格が売りです。
ブース内の四隅には、カメラと赤外線レーザーを組み合わせた計測器を縦に3個ずつ計12個配置。頭から足までの外周をわずか1.2秒以内に撮影し、10秒以内に3D データ化します。計測部位の周長寸法精度は±5mm。
計測器の数は簡単に増減できるので、たとえば腰回りだけを測定するシステムであればより安価にできることも特徴です。加えて床には体重体組成計が埋め込まれており、体の外側と内側を同時に計測できます。
OMRON 3D Style System は2016年の商品化に向けて開発中。今回の展示は技術デモの意味合いが強く、今後どのような活用法があるか探ってゆくとしています。
オムロンの担当者は活用例として、フィットネスクラブで利用者の体型・体重を記録、洋服店での採寸、3D プリンタ用データの作成などを挙げていました。ブースに入って約1秒で体の内外を高精度に計測できるというスピードは、多くの人が利用する施設で使う場合 にメリットになりそうです。
このほかオムロンの技術デモといえば、昨年のCEATEC で披露された「ラリー継続卓球ロボット」が記憶にあたらしいところ。またロジクールとは共同でゲーミングキーボード用のメカニカルスイッチを開発するなど様々な分野で技術力を発揮しています