キヤノンは、APS-Cサイズで2420万画素のCMOSセンサーを搭載するエントリークラスの一眼レフカメラEOS 8000DおよびEOS Kiss X8iを発表しました。
いずれもエントリークラスのEOSシリーズとして初めて2000万画素超のセンサーを採用したモデル。エントリークラスで採用センサーの画素数を向上するのは、2010年に発売したEOS Kiss X4で1800万画素になって以来5年ぶり。
主な仕様はほぼ共通ですが、EOS 8000Dのみ上面液晶パネル、サブ電子ダイヤル、電子水準器、HDR動画、動画デジタルズーム機能などを備え、カメラの形状も異なります。
EOS 8000D
同時発表のEOS M3と同様、撮像面に組み込んだAF画素の密度を増やし、ライブビュー時のAF速度を向上するハイブリッドCMOS AF IIIを搭載。ピント位置の近くまでは位相差AFで駆動し、精度の高いコントラストAFで追い込む方式であり、位相差AFの速度とコントラストAFの精度 を両立させる発想の機能です。
フォーカス関連ではこのほか、測距点を旧機種のEOS Kiss X7iの9点から19点に増加。すべてクロスセンサーとし、AF性能の向上を図りました。
映像エンジンはDIGIC 6。7560画素のRGB+IRセンサーと、色情報を加味した測光アルゴリズムを採用し、旧機種よりも精度の高い露出制御が可能になっています。
また、測光センサーには別途色検知機能を装備しており、人物の肌の色を検知して人物撮影時のピント精度を向上させる「色検知AF」もEOSとして初めて搭 載します。通常、人物の前景に別の被写体がある場合は前景に合焦しやすいものですが、肌の色を検知することで、人物を優先的にフォーカスするようになりま した。
基本性能としては、シーン解析性能が向上しています。具体的には、シーンモードにおいて「フリッカー光源」の認識が可能になりました。蛍光灯などのフリッ カー光源下では光量が定まらないため、意図的にレリーズタイムラグを発生させることで、最も適切な露出のタイミングでシャッターが切れる機能です。
EOS Kiss X8i(上)とEOS 8000D(下)。上面は液晶パネルの有無とダイヤルの位置の違いが目立ちます
EOS Kiss X8i(上)とEOS 8000D(下)。背面はサブ電子ダイヤルのほか、ボタン・スイッチ類の配置も異なります
タッチ対応で約104万ドットの3型バリアングル液晶モニターを備えるほか、同社のエントリーモデルとして初めてWifiとNFCを搭載しています。
両機種ともタッチ対応の3型バリアングル液晶モニターを装備
先述の通り、EOS 8000DとEOS Kiss X8iはデザインが異なります。EOS 8000Dでは上位機種と同じくモードダイヤルを左肩に配置し、右肩には上面パネルを装備。背面操作部にはメニュー操作や露出制御などに便利なサブ電子ダイヤルを設けています。
発売時期はいずれも4月下旬。
EOS 8000Dの価格はボディのみが9万7800円、EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMのレンズキットが13万4800円、EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMとEF-S55-250mm F4-5.6 IS STMのダブルズームキットも13万4800円。
EOS X8iの価格はボディのみが9万2800円、EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMの標準ズームレンズキットが10万1800円、ダブルズームキットが12万9800円。
どちらもエントリークラスではありますが、EOS 8000Dはエントリークラスの中でもちょっとだけ高級な「プレミアムエントリー」という位置付け。上面液晶パネルやサブ電子ダイヤルなど、使い込めば便利さがわかる部分で差がつけられています。
伝統的に性能と価格のバランスが良く、安牌として定番のポジションにいるEOS Kissシリーズですが、今回の2機種についてボディのみで5000円という価格差をどう見るかは、電子水準器の有無という点でピンと来るかどうかで判断できるのではないでしょうか。