富士通とマイクロソフトは5月、Microsoft Azureを活用したクラウドサービス FUJITSU Cloud A5 for Microsoft Azure のIoT(Internet of Things)サービスとプラットフォームで協業を発表しました。
富士通は半導体向けクリーンルームを転用した植物工場で同ソリューションの活用事例を紹介。実際に栽培している低カリウムレタスの試食も行われました。
富士通の半導体工場のクリーンルームを転用した大規模植物工場「会津若松 Akisai やさい工場」では、同社が提供する食農クラウド「Akisai(秋彩)」を通じて、低カリウムレタスの品質を管理しています。
クリーンルームを転用した植物工場は、半導体工場と同じ行程で運用される
植物工場で働く従業員は、半導体工場で働いていた人がそのまま充てられているとのこと。行程も農作業の行程というよりは半導体を製造する工程と変わらないのだそうです。
工場内の衛生管理も、半導体工場の時と同じ基準で厳しく管理されており、それによって無農薬、長期保存、無洗浄での喫食が実現できたとしています。
「Akisai(秋彩)」は、「FUJITSU Cloud A5 for Microsoft Azure」をベースにしたIoTサービスによる生産性の最大化、品質、歩留まり、安全性、衛生の向上を実現するソリューション。おいしさや食感、低カリウムを実現するために、温度や培養液に含まれる肥料などの数値を細かくコントロールする必要があり、それらを実現するためのソリューションがこの「Akisai(秋彩)」とのことでした。
今回のバージョンでは、オペレーションの最適化に加えて歩留まりや品質の均一化など、コスト削減や効率の向上などのほか、需要が増える端境期に増産するなどの生産計画が容易である点が特徴です。
「会津若松 Akisai やさい工場」での野菜の栽培は、既存の農業ビジネスと競合しないように、低カリウムなどの特殊なニーズに対応したものが中心となるようです。とはいえ、食事制限のある人向けだけでなく、野菜特有のえぐみや苦みなどが抑えられているので、(野菜嫌いな)子供のいる家庭や、より良い品質の野菜を食べたいという世帯での購入が増えているそうです。