Skylake(スカイレイク)ことインテルの第六世代Core iシリーズのうち、10月に登場予定と噂されるノートPC用バージョン「Skylake-U」第一陣ラインアップに関する資料がリークされました。
全般的な特徴をおさらいすると、昨今のインテル製CPU (SoC)のテーマである消費電力の低減と処理速度の向上をそれぞれ推し進めた製品です。第五世代Core iと比べて、CPU部は最大10%、GPU部が最大34%高速化し、さらにバッテリー駆動時間は1.4時間ほどの延長(フルHD動画を40Whバッテリー で再生した場合)を謳います。
第一陣と書いたのは今回の資料によって、これまでのウワサとは異なり、10月に全モデルが出そろうスケジュールではないことが判明したため。とくにMacBook Airに例年搭載されることから注目のGPU重視版(後述)はかえってスケジュール的な不明点が増えた状況ですが、ともすれば来年の1~3月となりそうです。
今回(も)リーク資料を掲載したのは、小型PC関連情報サイトのFanlessTech。同サイトは最近インテル関連資料のリーク記事掲載が多く、また資料も確度が高いことで知られます。
Skylakeの全般的な性能や特徴に関する資料もリークしていましたが(下記記事を参照ください)、発売されたデスクトップ版から特徴を照らし合わせると、正確なものです。
8月登場の第六世代Core i (Skylake)の詳細判明。ノートPCは年末商戦の登場か
今回の資料からわかるデータは、Skylake-Uの第一陣のモデル名と仕様の一部。昨今のインテルCPUの製品ラインアップを見る際に重要なTDPは、すべて15Wです。
TDPとは「熱設計電力」と訳されますが、特定条件下(ほぼフルパワー時)での消費電力を示す値で、発熱と消費電力の目安となります。現在のインテル CPUは小型タブレット用からサーバー用までに幅広く展開していますが、主力となるCore iシリーズはとくに幅が広いため、このTDPが大分類として使われているのです。
- Core i7-6600U (2コア4スレッド、2.6~3.4GHz、HDグラフィックス520、vPro対応)
- Core i7-6500U (2コア4スレッド、2.5~3.1GHz、HDグラフィックス520)
- Core i5-6300U (2コア4スレッド、2.4~3.0GHz、HDグラフィックス520、vPro対応)
- Core i5-6200U (2コア4スレッド、2.3~2.8GHz、HDグラフィックス520)
- Core i3-6100U (2コア4スレッド、2.3GHz、HDグラフィックス520)
- Pentium 4405U (2コア4スレッド、2.1GHz、HDグラフィックス510)
- Celeron 3955U (2コア2スレッド、2GHz、HDグラフィックス510)
- Celeron 3855U (2コア2スレッド、1.6GHz、HDグラフィックス510)
今回リークされた製品は、Uシリーズで標準となるTDP 15W版の一部。一覧は上のリストにあるように、Core i7とi5が2モデル、i3とPentiumが1モデル、Celeronが2モデルの合計8モデルです。
なおvProとは、大手企業向けPCで要求されるセキュリティ機能。パナソニックのLet’s noteシリーズや東芝dynabookの業務用モデルで使われるCPUです。
合わせて、Uシリーズには発熱は大きくなるもののそれ以上に高性能となる28W版がありますが、そちらは2016年第一四半期、つまり3月までの登場という資料もリークされました。
上述したようにこれまでのウワサでは、こちらも10月から2015年内には登場すると目されていました。
このTDP 28W版CPUを採用している代表的ノートPCは、VAIO ZとMacBook Pro Retina 13インチ。とくに次期MBPR 13インチ(あるいは相当モデル)は、ほぼ間違いなく採用してくると見込まれます。
さて、気になる性能向上率ですが、GPUに関する性能の手がかりは記載されていないものの、CPUはデスクトップ版からのデータを照らし合わせて、ある程度推測可能です。
薄型ノートPC、一昔前のインテル呼称ではウルトラブックと呼ばれていたクラスで採用例が多いi5の基本モデルで比較してみましょう。
動作クロックは、第四世代の『Core i5-4200U』が1.6 GHz~2.6 GHz(ターボ時の最高クロック)。第五世代の『Core i5-5200U』が2.2~2.7 GHz。動作クロックは世代ごとに、基本時もターボ時も100MHzずつ上昇していることがわかります。
さらにデスクトップ版でのベンチマークからは、第五世代と同クロックでも3~10%ほどの速度向上が測定できていますので、これを合わせると「第五世代比で10%性能アップ」という公称は妥当と思えます。
なお、デスクトップ版Skylakeの性能や使用感に関しては、下記のレポート記事も参照ください。
Intel第6世代Core iプロセッサSkylakeレビュー、ハードウェア編
Intel第6世代Core iプロセッサSkylakeレビュー、Windows 10でベンチマーク編
また、周辺機器との接続インターフェイスに関する資料も流出。Core iシリーズではPCI Express 3.0を最大12レーン、USB 3.0を最大6基(タイプAやタイプCといった端子形状は関係ありません)、PCI Express SSDに対するRAID機能などをサポート。
さらに新機能として、外付けチップを使わずともSDXCカードとeMMC(内部フラッシュメモリインターフェイス)をサポートします。
さて、冒頭で紹介した「GPU重視版」とは、同じTDPでもCPUの動作クロックを落とす代わりにGPUの性能を上げたバリエーションモデル。ここ数世代のCore i5とi7では必ず用意されており、またMacBook Airは伝統的にこのGPU重視版を搭載します。
さらにSkylake-UのGPU重視版は製品数が増加。Broadwellまでは技術面やコスト面での制約から製品化できなかった、インテルのGPUで最高速となるIris Proグラフィックス搭載版(eDRAM搭載版)仕様のモデルが加わります。
eDRAMとはCPUに直結したDRAMメモリのこと。約100GB/秒というデータ転送速度を持ち、高速なデータ転送が必要な画面データを中心に使われ ます。これが搭載されていると、GPU自体が同じ仕様でも実際の性能は数段向上するため、最上位として位置づけられています。
そのため本来、Skylake-UではむしろGPU強化版のラインナップこそが注目点なのですが、上述したように今回リークされた資料では表中に含まれていません。
MacBook Airシリーズの動向などを占う上でも気になる点なのですが、これまでの動向では、GPU強化版はTDP 28W版と近いタイミングでの登場ということがありました。あくまでも予想ですが、ともすればこちらも来年1~3月の登場となる可能性が大きそうです。