イタリアのパスタ製造大手Barillaが、3Dプリンタで作る新しいパスタ形状コンテスト PrintEat の勝者を発表しました。
20か国216作品のなかから選ばれたのは、薔薇のような形で茹でると花が開く『Rosa』など3組。いずれもユニークな形状です。
3Dプリンタを使った新パスタ デザインコンテスト PrintEat は、日本でもおなじみの Barillaと、3Dプリンタやモデリングのポータルサイト Thingarage が今年8月に発表した企画。
コンテストでは3Dプリンタを始めとする食品製造技術の発展を背景に、従来では不可能だった新しい発想を募集しました。レギュレーションはひとつのサイズが30 x 30 x 40mm以内、ノズル直径0.8-1.5mm、解像度0.1mm以上など。
入賞作品は、
・Rosa (フランスの工業デザイナー Loris Tupin氏)
薄い切れ目が入った半球を重ねたような形状。茹でると開いて、バラの花が咲いたように変化する。
・Vortipa (イタリアのプロダクトデザインチーム Cagliariの Danilo Spiga、Luis Fraguarda氏)
編みあげられた渦巻きのようなパターンのパスタ。小さなカップやアイスクリームコーンのように、中に食材やソースを掬って載せられる。
・Lune (イタリアの工業デザイナー Alessandro Carabini氏)
中空の月のような形状。クレーター部分は穴が空いており、ソースが内部に入って絡む仕組み。
複雑な形状のパスタを出力するための3Dプリンタは商業的にはまだ存在していないため、今回のコンテストでは一般的なPLAやABS樹脂で作れることが規定でした。工業的に大量生産できるかも条件ではなく、バリラが実際の製品として販売する予定も現時点ではありません。
3Dプリンタの一般向け普及にあたっては、いくらさまざまな形状が作れるとはいっても、ホビー用途を除けば「そもそも日常生活で形の違う樹脂製の小物を頻繁に必要とする場面があまりない」ことが課題として挙げられます。
そう考えると、個人によって好みが違い、同じものばかりでは飽きが来て、しかも消えてしまうので頻繁に作る必要がある「食品」は、趣味の3Dプリンタに とって有望なジャンルかもしれません。調理家電や製麺機の売り場に3Dプリンタが並び、食感の好みやレシピによって最適な出力を日替わりで楽しめます!と 宣伝するような近未来に期待したいものです。