マイクロソフトが iOS / Android / Windows Phone対応の写真共有・同期スライドショーアプリ Xim をv1.3にアップデートしました。Ximは複数人で写真を持ち寄って同時に楽しめるスライドショーアプリ。
特徴は誰でも写真送りや拡大縮小を操作でき、全員の画面が同期すること。つまり各自が自分の携帯やタブレットを持ったまま、全員が同じ写真の同じ部分を同 時に見ることができます。売り文句は「Share your photos, not your phones.」。またアプリをインストールせずブラウザだけでも参加可能。
バージョン1.3への更新ではApple TV やGoogleの Chromecast、アマゾンFire TV、Xbox Oneへの表示に対応。大画面でも同時に見られるようになりました。
Ximを開発したのは、マイクロソフトの研究機関 Microsoft Researchに属するFuse Labs。マイクロソフト・リサーチは直接の製品開発部門ではなく、成果を論文として発表する研究機関ですが、一方でコンセプト実証のためのプロトタイプ やアプリもプラットフォームを問わず積極的にリリースしています。
アプリの使い方としては、まず最初に確認コードを受け取る電話番号の入力が必要です。(初回の確認コードさえ受けられれば、必ずしもアプリを動かす端末の 番号である必要はありません。WiFiのみデバイスならば別の携帯で受ける、Skypeなど音声かSMSを受けられるIP電話で受ける等でテストは可 能)。
あとは写真を選び、参加者を選べば同期スライドショー(「Xim」)が始まります。参加者はいつでもスライドショーに写真を追加でき、新たな参加者も各自 が招待できます。写真に重ねて表示されるテキストメッセージで簡単な全員チャットも可能。ユーザーは複数のXimのセッションに同時参加できますが、各 セッションは1時間で自動的に終了します。
Ximの設計で面白いのは、アプリを iOS / Android / Windows Phone マルチプラットフォームにしていることに加えて、見せる写真も端末のカメラロールだけでなくOneDrive や Dropbox、Facebook、Instagramなど複数のソースを選べるようにしていること。
また招待も、アプリをインストールしている同士だけでなく、テキストメッセージやメール、電話番号へのSMSでも可能です。(最初に電話番号を入力させ確 認させるのは、たとえばLINEがそうだったように一番手っ取り早く確実な識別子として使うためですが、ここは逆にハードルが高くなっている部分かもしれ ません。携帯の連絡先へのアクセス許可も求められますが、実際に招待する相手以外のコンタクト情報は送信しないと説明があります)。
Ximのセッションはマイクロソフトのサーバ上に一時的に設けられるため、Ximアプリをインストールしていなくても、招待メッセージに含まれるURLを ブラウザで開けばモバイルでもPCでも参加できます。ブラウザで参加の場合、写真送りやズーム操作、チャットはできるものの、自前の写真は追加できませ ん。
今回のバージョン1.3で加わった大画面同期も、Ximスライドショーがウェブ上にあることから可能になった機能。こちらも自社の Xbox One だけでなく、Apple TV や Chromecast、Fire TVにまで対応する徹底ぶりです。上記の機器があれば右上の画面アイコンから選択して飛ばせますが、それ以外のネット接続テレビやPCでも、ブラウザで Ximのサイトを開いてユニークなパスコードを手入力しても開けます。
「携帯の写真を大画面で見たい、けれどケーブルやドングルは持ち歩きたくないし出先のモニタ大写しでログインも避けたい」需要には、古くはソニエリ時代の実験サービス vscreens.com や、Scalado の Photobeamer など、テレビと直接接続するかわりにQRコードやパスコードでヒモ付けだけして、あとはネット経由で同期させる方法が使われてきました。
マイクロソフトの Xim は同じ方向性をさらに突き詰め、多人数スライドショーの実体だけをクラウドに作り、入り口と出口はメーカーもOSも問わないスマートフォンやSTBに、写 真のソースも他社を含むクラウドサービスにと、マルチプラットフォームを目指している点が興味深いアプリ / サービスです。(目指しているだけで、実装としては特に招待や写真ピッカーなどまだままだ改善の余地は多数ありますが)。
入り口・出口で囲い込まなくてもサービスを使わせるのはいかにも現在のマイクロソフトらしいといえます。実験であり実用でもある微妙な完成度ではあります が、同じメッセージングアプリやSNSでつながっていない緩い知り合いどうしで一時的な写真見せ合いがしたい場合や、写真を見せびらかすため携帯電話を手 渡した瞬間に気まずいメッセージ通知が届いて人間関係が破滅しないか戦々恐々としている人にはいいかもしれません。