米国ラスベガスで開催中のCES 2015より。ソニーが発表したウェアラブルデバイスの新製品SmartEyeglass Attach! の実機ハンズオンをお届けします。
ソニーは昨年9月にメガネ型のAR (拡張現実) 端末SmartEyeglass を発表していますが、今回のAttach! は市販のメガネやゴーグルなどに取り付けて使う、主にスマートフォン用の超小型モニタです。
Sony SmartEyeglass Attach!
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14 枚
Attach! はメガネのツルに固定するコントロールボード部と、その先のモニタ部で構成されます。メガネは製品に含まれず、Attach! という名前の通り市販のアイウェアに付けて使える汎用性が特徴です。
コントロールボードにはARM Cortex-A7 プロセッサ、Wi-Fi、Bluetooth、加速度センサなどを搭載。モニタにはカラー表示対応の非透過型0.23インチ640 x 400 有機EL を採用します。細かな仕様などに関しては、発表時の記事を参照ください。
ソニー、メガネに装着する片目用ディスプレイ端末を開発。高精細有機ELとWiFi / Bluetooth搭載
非透過型を採用した理由は、半透過型と比べて光を効率的に 扱えるため表示が鮮やかになるとともに、バッテリーの持ちも良くなること。AR 用途を考えると表示が風景に溶け込みやすい半透過型のほうが合いますが、ARは無印SmartEyeglass に任せて、Attach! はあくまでも外部モニタというスタンスのため、画質を優先して非透過型を採用しています。
電源はバッテリー駆動に対応。バッテリー容量は400mAhで約2時間の連続使用が可能です。バッテリーパックは現状では左耳のツルにつける形で検討中ですが、別の箇所への装着や、より大/小容量のものも検討しています。
実際に身につけたところ、モニタの表示は明るく鮮明でとても見やすい印象です。また非透過型ながらモニタの後ろ側が透けて見えるような感覚を受けました が、これは0.23インチというモニタの小ささと、左目で得た映像を元に右目の視野を補完する脳の働きによるものとのことでした。
一方でモニタの小ささ故に衝撃などを受けるとズレてしまい表示を見失うことがありました。ソニーからはAttach! はスポーツ中などスマートフォンを手に持って確認できない場合に便利、と説明がありましたが、動きの激しいスポーツではアイウェアのホールド力を高める工 夫が必要になると感じました。
またAttach! は大部分が樹脂製のため、見た目ほど重さは気になりませんが、コントロールボードからの発熱は少々気になりました。触れないほどではありませんが確実に熱を感じます。
色々なことができる超小型PC のGoogle Glass とは逆に、機能と用途を絞る戦略を取ったソニー。今回Attach! を体験して確かに便利さは感じましたが、それと同時にスマートフォンなどのモニタとしてだけ使うのであれば、直接画面を見れば多くの場面で事足りてしまう のでは、とも感じました。このあたりは用途を絞ったゆえの課題や悩みとも言えそうです。
よく言われがちな話ではありますが、今後の普及を目指すには、Attach! ならではの便利さや楽しさを感じられるキラーアプリ・サービスが必要になると思われます。
SmartEyeglass Attach! は2015年内に量産開始予定。価格や販売方法などは現時点で未定です。今後はSDK を公開し、ソフトウェア・電子機器メーカーなどの協力を得て開発および新規市場の開拓を進めるとしています。
このほか国内では眼鏡メーカーのJINS が、着用者の疲労などを検知するメガネ型のセンシングデバイスJINS MEME を開発中。その他のメーカーも含めて、アイウェア回りのデバイスはこれから賑やかになってきそうです。