Google が Chromecast に新機能ゲストモードを追加しました。
Chromecastに動画や写真を「キャスト」する際、従来はまず同一LANに接続する必要がありましたが、ゲストモードでは ChromecastのWiFi位置情報と可聴域外の高周波音を使い、周囲のAndroid端末と自動でペアリングします。
Chromecast ゲストモード
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日本でも家電量販店などでパワープッシュ中の Chromecast は、HDMI端子に接続するスティック型の「テレビでネットコンテンツが楽しめます」デバイス。スマートフォンやタブレット、PCの対応アプリからコンテンツを選んで「キャスト」すると、Chromecastがネットに接続してコンテンツを再生します。
スマートフォンの画面を直接HDMIケーブルやMiracastなど外部出力するのとは違い(※)、アプリ経由で指定されたコンテンツをChromecast自体の内蔵Chromeブラウザがネットから取得して表示するために、ひとつのChromecast の再生キューに対して複数人で動画や音楽を登録して楽しめるのが利点のひとつ。ちょうどカラオケのような仕組みです。
(※ PCのChromeブラウザのタブやスマートフォンの画面をそのままミラーリングするモードもあります )。
しかし従来はキャスト先のChromecastと同じ無線LANに接続する必要があったため、人の家のテレビでおもしろYouTube動画再生大会を開きたくても、まずはLANのパスワードを教えてもらい各自が設定することから始める障壁がありました。
今回のアップデート後は、Chromecastアプリの設定からゲストモードをONにすれば、同一無線LAN内にいないデバイスからでも、YouTubeなど対応アプリのCastボタンを押せば近くのChromecastがキャスト先として見えるようになります。ただし今のところAndroid限定です。
接続にはネットワークから取得したChromecast自体の位置情報とWiFi情報、そして可聴域外の高周波音を使います。Chromecastが人の耳には聞こえない音でPINコード情報を流し、周囲のAndroidデバイスが聞くことで、コードの入力なしに接続が完了します。この仕組でつながらない場合は、画面に表示されたPINコードを手動で入力する手順を求められます。
音を使ったペアリングやログインの仕組みといえば、Googleは今年2月、高周波音認証技術のスタートアップ SlickLogin を買収していました。SlickLogin はイスラエル国防軍で軍用セキュリティ開発に携わったという三人組が創業した企業。
SlickLogin の技術では、ウェブサイト側が発行するトークンコードをPCなどのスピーカーから聞こえない音で送り、聞いたスマートフォン側のアプリが自分の認証情報をネット経由でサービスとやりとりしてログインを完了させます。
SlickLoginの解説では、発生する音(トークンコード)は毎回異なる上に、認証情報そのものは音ではなく携帯端末側に含まれているため、仮に音を盗聴されても、その場ですかさず別の携帯を近づけられても問題がないとしています。利点はパスワードを覚えたり、ワンタイムトークンコードなどを手で入力する必要がないこと。パスワードなど他の手段と併用も可能です。
Googleが買収後にSlickLoginの技術をどの程度取り入れるのかは注目でしたが、まずはあまり実害のない?ところからさりげなく導入されるようです。