シーゲイトが8月に予告していた、3.5インチ8TB版HDDを正式リリースしました。モデル名は『ST8000AS0002』で、現在出荷中。ただしバックオーダー解消のためか、発売は2015年1月とされています。
特徴はなんといっても価格。メーカーからの発表ではありませんが、アメリカのAmazonでは既に20台セットが予約開始されており、5336ドル。1台あたりなんと約266.8ドルです。現在パーツショップで入手可能な唯一の8TB版HDDは、HGST(日立)の製品ですが、実売は8万円前後。仮に日本で4万円で販売されるとしても一気に半額と、超大容量HDDでの価格破壊的存在となります。
本製品は、シリーズとしてはArchive HDD v2に属しています。これは文字通りアーカイブ(データ保存)に向けたシリーズで、高速性よりも容量や電力効率を重視したシリーズ。そのv2、つまり2世代目に属するというわけです。
また、8月にプレスリリースベースで発表した8TB HDDの製品版にも当たります。発表時の情勢について、詳しくは下記記事を参照ください。
シーゲイトが世界初の8TB HDDを発表、サンプル出荷中。年内発売予定
HDDの性能に大きく影響する回転数は非公開ですが、初代のArchive HDDシリーズが5900rpmであったことと、販売しているAmazonのページでも5900rpmと書かれている点から、今回も5900rpmと思われます。
対して、先ほど紹介したHGSTの8TB版HDDは「Ultrastar He8」シリーズの製品。こちらは7200rpmと高速な代わり、ヘリウム充填などコスト高の技術が投入されているためか、先述したように、3.5インチ HDDとしては例外的に高価な製品となっています。
ちなみに、現在PCパーツショップで人気の高い4TB版HDDで安価な製品は、実売価格1万8000円前後といったところ。本製品が1ドル120円のレートに近い価格で発売されるとなれば、容量あたりの単価でもこの水準を超えてしまうほどの価格破壊っぷりです。
また、気になるプラッタ(HDD円盤本体)の構成も正式発表されており、1.33TBプラッタ×6枚構成です。
記録密度を向上させるため、ライト(書き込み)時に「記録済みの一部領域をオーバーラップする」SMR(Shingled Magnetic Recording)技術が導入されています。これは日本語では「瓦記録」と呼ばれる方式。
なお、瓦記録に関しては以下の記事で詳しく紹介しています。シーゲイトが公開している瓦記録方式の解説動画と合わせてご覧ください。
HGSTが世界初の10TB HDDを出荷開始。ヘリウム充填と瓦記録で3.5インチ最大容量を実現
年末から正月に掛けては年末商戦時に加え、テレビ放送で特別番組が急増することから、パーツショップなどでは「HDDが売れる時期」となっています。このタイミングに若干間に合わないのは残念なところですが、価格的なインパクトは絶大。
実際に発売されれば、データ用ドライブとして人気の製品となるのはほぼ間違いありません。店頭ベースでの価格がいくらになるかを含めて、期待して待ちたい製品です。